物流業界の効率化は、単なる作業スピードを上げることにとどまらず、企業の競争力強化やコスト削減、さらには人材不足の解消にもつながります。自社の問題点を理解したうえで、適切な対策を講じる必要があります。
本記事では、物流業務において効率化が重要な理由や、実施するためのポイント5選を紹介。具体的な対策方法を知りたい方の参考になれば幸いです。
業務効率化が重要な理由
業務効率化は、ただ単に作業を早く終わらせるのではなく、企業の競争力を底上げするのに重要なポイントです。適切に実施できれば、下記のような効果が期待できます。
- コスト削減
- 人手不足解消
- 顧客満足度の向上
効率化によって削減したコストは、DXや新規事業へ再投資できるため、長期的な視点で考えると収益の拡大にもつながります。つまり、最も確実でローリスクな経営戦略といえます。
業務効率化のポイント
物流の業務を効率化するには、以下の4つのポイントがあります。各視点で何をするべきか、順番に解説しましょう。
3Mを削減する
物流現場における3Mとは、①従業員の能力を超えた負荷をかける「ムリ」、②付加価値を生まない動作・在庫・待ち時間などの「ムダ」、③ばらつきや手順違いによる「ムラ」の三つを指します。
これらが解決されないままになると、品質低下と生産性悪化を招きます。現場を見える化し、作業標準化・レイアウト改善・人員最適化などで、3Mを排除していくことが重要です。
とはいえ、すべての問題点をすぐに解決するのは困難でしょう。さまざまな問題が山積される場合は、比較的容易に実施できる施策から優先するのも一案です。
たとえば、倉庫内の整理整頓は、すぐに実行しやすいうえ、即効性も高い施策です。物を探す時間を短縮できるうえ、過剰な在庫保持も減少し、保管コストの削減にもつながります。
これまでに慣習化されていた業務も見直し、短縮できる箇所から改善していくことが重要です。
業務を自動化する
これまでは人の手で行っていた作業を自動化すると、作業効率の向上が期待できます。
たとえば、梱包作業に時間がかかっている場合は、自動製函機を導入する方法があります。梱包が自動化され、手作業よりも作業時間を短縮し、大量の荷物を素早く処理できます。
ピッキング作業に時間がかかっているなら、自動で倉庫内の商品を探し出し、ピッキング作業を行うロボットの導入を検討が適しています。
これらの施策を実施すると、人件費が削減されるうえ、ヒューマンエラーによるミスの予防が可能です。ただし、機械を導入するコストや管理費が発生するため、自社の状況に合わせて導入しましょう。
管理システムを導入する
業務内容を手作業で管理している場合は、管理システムの導入によって効率化を図ることができます。代表的なシステムには、下記のようなものがあります。
- WMS(倉庫管理システム)
- TMS(輸送管理システム)
WMSとは、入荷から出荷までの物流業務を効率化するシステムです。在庫状況をリアルタイムで把握できるほか、バーコードを用いた検品や自動化された作業指示が可能で、作業時間短縮を期待できます。
TMSとは、物流企業における輸配送業務を効率よく実施するためのシステムです。最適な配車ルートを決定したり、荷物の現在位置や運行状況をリアルタイムで把握・管理できます。効率よく荷物を運搬できるうえ、ドライバー不足にも効果的です。
業務のマニュアル化
業務を円滑に進めるためには、マニュアルも重要です。
物流業界においては「人の入れ替わりが激しい」という特徴があります。一人ひとりのスキルや経験にも差があるため、マニュアルを整備していなければ、作業効率や品質が低下する可能性も。
マニュアルの導入により、ピッキングや在庫管理などの業務が標準化され、経験の浅い従業員も早期に戦力となります。一方で、熟練者も自身の作業を見直すことで無駄を削減し、全体的な業務効率の底上げにつながります。さらに、作業手順の明確化は作業品質のばらつきを防ぎ、欠品や誤出荷といった出荷・在庫管理上のミスを抑制します。
加えて、トラブル発生時には整備されたマニュアルを参照することで迅速な対応と的確な原因特定が可能となります。結果的に顧客満足度の向上、および企業力の強化にもつながるでしょう。
まとめ
物流業務を効率化するポイントは、現場の3Mを排除すること、業務の自動化、管理システムの導入、マニュアル整備などがあります。これらを着実に実践することで、コスト削減や省人化、サービス品質の向上が期待でき、企業の収益力強化にもつながります。
特に、最新のシステムや機器の導入することや、社内外の連携強化、標準化の推進は、今後の物流業界に不可欠な要素です。自社の現状を見極め、できることから効率化に取り組むことが成功のカギとなるでしょう。