物流における配送とは、荷物を拠点から最終目的地まで届けることです。ただモノを運ぶだけでなく、安全かつ迅速に運搬することが求められます。しかし、近年ではドライバー不足や再配達による負担増など、多くの企業がさまざまな課題を抱えています。
この記事では、そうした配送の実態と課題、そして効率化のために実践できる対策について、わかりやすく解説していきます。
配送とは?
物流における「配送」とは、荷物を拠点から最終的な受け取り主へ届ける「二次輸送」を指します。これは、拠点間の大規模な移動である「輸送(一次輸送)」とは異なり、短距離で複数の場所へ荷物を配るのが特徴です。
配送においては、単にモノを運ぶだけでなく、適切な状態で、指定された場所へ、指定された時間内に届けることが求められます。そのため、高度なスケジューリングと管理技術が不可欠です。
特に現代の物流では、情報通信技術や自動化技術を活用し、正確なデータ管理や交通・天候を考慮した効率的な計画が求められます。また、梱包や取り扱いも配送品質を左右する重要な要素です。
配送は単なる移動ではなく、多くの技術と管理が統合された複雑なプロセスがあります。そのため、企業が成功するためには、最適化が非常に重要です。
配送にはどんな課題がある?
配送に携わる企業では、さまざまな課題を抱えています。特に多くの企業が悩まされているのが、次のような問題です。
ドライバーの不足と高齢化
ドライバーは長距離運転や不規則な労働時間、さらに荷物の積み下ろしなど、肉体的な負担が大きいことが知られています。そのため、多くの企業が人員の確保に苦戦している状況です。
また、現在業務を行っているドライバーの多くは高齢化しています。体力的な問題や安全運転が難しくなることから、人員の不足が加速する懸念もあります。
ドライバー不足の状況下でも荷物を迅速かつ安全に届けるためには、効率よく荷物を配送するためのAI活用や、労働今日の改善など、さまざまな対策を講じなければなりません。
効率よく配送するのが難しい
熟練のドライバーは、時間帯による渋滞の傾向や、駐車しやすい場所を熟知しており、効率的で無駄のないルートで配送が可能です。また、事故や故障などがあっても、経験に基づいて適切な判断・対応ができるため、配送の遅れを最小限におさえることもできます。
しかし、経験の浅いドライバーの場合は、配送中に起きたトラブルへの対処が難しいケースがあります。担当者によって、配送時間にばらつきが生じてしまうと、顧客との信頼性を損なう場合も。どのドライバーが配送を担当しても、業務が効率よく仕組みを確立するのが必要不可欠です。
再配達によるコストと負担の増大
荷物の再配達は、ドライバーの負担が増えるだけではありません。再配達にかかるガソリン代、荷物を保管しておく管理費用、再配達を手配する作業など、さまざまなコストの増大を招きます。
スムーズに再配達を行うためには人員を増やすことが理想的ですが、昨今はドライバー不足が深刻化しています。そのため、既存のドライバーに負担を強いることとなり、労働環境の悪化、ひいては退職を招きかねません。
再配達の対策を適切に実施することは、物流業界において避けては通れない課題といえるでしょう。
配送の課題を解決するには?
ここからは、解決の具体策を解説しましょう。
入出庫を管理するシステムを取り入れる
現在、多くの企業が荷物の入出庫を手作業で行っています。しかし、手作業で管理を行うと、現場スタッフによるミスや、労働量の増大などのデメリットも。
荷物を入出庫管理システムを導入すれば、現場スタッフの労働時間やコスト削減、さらにヒューマンエラーの予防にもつながります。導入するための費用や、システムを使用するための研修も必要ですが、長期的な視点で見れば、作業効率の向上やスタッフの負担削減など、さまざまなメリットをもたらすでしょう。
配送システムを導入する
ドライバーの経験や知識に依存するのではなく、配送システムの導入によって効率化を図る方法です。たとえば、以下のような機能をもつシステムの導入が有効です。
- トラックの配車状況を管理
- 配達中の移動データや、ガソリン代などを一元管理
- 効率のよい配送を実現する配車ルートの作成
- 効率よく配送できたか、データを蓄積して分析
社外でも使用できるよう、タブレットやスマホなど、さまざまなデバイスで使用できるものを選ぶのもポイントです。無料でお試し期間を設けているシステムもあるため、試用してから導入するのを推奨します。
受け取り手段を多様化する
コスト増大の大きな影響となる、再配達。これを改善するためには、宅配ボックス・置き配・コンビニ受け取りの利用など、受け渡し方法を多様化することが有効です。
荷物を受け取るために顧客が自宅で待機する必要もなくなるため、顧客満足度の向上にもつながります。従来の受け渡し方法にこだわらず、さまざまな対策方法の導入を検討してみてください。
まとめ
配送は単にモノを移動するのではなく、多くの要素が関わる複雑なプロセスです。ドライバー不足や効率のばらつき、再配達の負担増などの課題には、システム導入や受け取り手段の多様化といった対策が有効です。社会の変化に対応しつつ、自社に適した配送体制を構築していきましょう。