物流業の使命は「荷物を確実に届ける」ことです。
しかし、その過程には自然災害、盗難や不法侵入などの物理的脅威、システム障害を招くサイバー攻撃、さらには労働災害まで多様なリスクが潜んでいます。こうした障害で供給が止まれば、顧客離れや事業停止を招くことも。
そのため、企業はあらかじめリスクを特定したうえで、回避や低減する策を講じなければなりません。本記事では物流における主要リスクを整理し、対策するポイントを解説します。
物流におけるリスクマネジメントの重要性
物流に携わる企業の基本は、「荷物を安全に届けること」です。何らかの原因により荷物の供給が途絶えれば、顧客離れを招くのはもちろん、事業が立ち行かなくなる可能性も。
そのため、なんらかの災害や障害が発生したあとも、モノを動かし続ける体制を構築しておくことは必要不可欠です。リスクを事前に防ぐのはもちろん、緊急輸送や代替拠点、在庫・要員の融通を支える物流網と他社連携を整えておく必要性があります。
また、物流においてはさまざまな情報を取り扱います。通信障害や悪意ある第三者によるシステムの侵入などが起きると、企業の信頼性は失墜してしまうでしょう。
物流におけるリスクの種類
物流業界においては、さまざまなリスクが存在します。ここでは、代表的なものを4つご紹介します。
自然災害リスク
自然災害には、台風、地震、河川の氾濫、土砂崩れなど、さまざな種類があります。たとえば大雨警報が発生されると、以下のような問題が発生します。
- 輸送拠点が水没する
- 道路の通行止め
- 荷物が下ろせない
- ドライバーの安全が確保できない
こうした災害が発生すると、配送を取りやめる必要性が出てきます。有事の際にはどのような対応をとるか、事前に固めておかなければなりません。
物理的なセキュリティリスク
倉庫や物流拠点に不法侵入され、荷物の盗難や損傷などの物理的なリスクもあります。高額品や貴重品を保管しているエリアは外部から狙われやすいため、二重・三重の安全対策が求められます。
また、外部から侵入されるだけでなく、従業員が正規の手続きを踏まずに商品を持ち出す可能性も否定できません。認証システムや監視カメラによる履歴管理などにより、内部対策も怠らずに実施する必要性があります。
サイバーリスク
物流業界では、顧客情報や配送情報など、さまざまな機密データを取り扱います。そのため、外部からのサイバー攻撃の対象になりやすいのが特徴です。車両追跡システムや温度管理センターなどの機器から侵入され、管理システム全体まで被害が及ぶ可能性も。
情報が漏洩してしまうと、業務が大幅に遅延するだけでなく、経済的な損失が発生するリスクがあります。消費者からの社会的な信頼が失墜するほか、法的責任や損害賠償につながるかる可能性もあるでしょう。
労働災害リスク
物流業化においては、労働災害の発生件数が多いのが特徴です。主に以下のような事故が発生しています。
- 転倒・転落
- 機械に挟まれる事故
- 落下物による事故
- 交通事故
- 熱中症や過労
従業員の安全を確保することは、企業にとって必須です。労働契約法や労働安全衛生法に基づき、従業員の身体や健康を守るため、
リスクマネジメントのポイント
物流業において有事が発生した際は、大きな損害を招く可能性があります。トラブルに対処するためには、事前にBCPを策定しておくことが重要です。
BCPとは、自然災害やサイバー攻撃などの緊急事態が起きた際に、どのように行動するべきかまとめた計画書のことです。策定の手順は、下記の通りです。
- 自然災害や事故、システム障害などのリスクを洗い出す
- 発生確率や影響を評価する
- 優先業務を決める
- 対策方法を計画する
- マニュアルの策定と従業員の訓練
一度策定したあとも、必要に応じて内容を精査するのも重要です。自社の状況に合わせて、定期的な見直しを行いましょう。
まとめ
物流リスク対策の軸は、「物流を止めない仕組み」を持続的に磨き上げることです。
リスクの種類は自然災害、物理的脅威、サイバー攻撃、労働災害など多岐に渡ります。BCPを策定したうえで、訓練を通じて従業員の危機管理意識を底上げすることが不可欠です。
適切なリスクマネジメントを実施し、従業員の安全と企業の信頼を守りましょう。