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ドライバーの安全意識を高めるには?ポイント3選を紹介

物流業界において、ドライバーの安全意識は事故防止だけでなく、企業の信頼維持にも直結する重要なテーマです。昨今はSNSの普及により、運転中のふるまいや態度が広く共有されてしまいます。安全運転は個人の責任にとどまらず、企業全体のイメージ管理の一環でもあります。

本記事では、警察庁が定める「安全運転5則」の解説だけでなく、安全意識を高めるための具体策を紹介します。

ドライバーの安全意識の重要性

トラックなど貨物自動車の交通事故は、車体や積み荷の大きさから、一般の事故より被害が甚大になる傾向があります。そのため、運送業ではドライバーの高い安全意識と徹底した安全教育が不可欠です。

また、ドライバーの安全意識の低さは、乱暴な運転やマナーの悪さにつながり、企業イメージを著しく損ねます。特にSNSが普及している昨今、運転の様子は簡単に拡散されてしまいます。結果として、企業の信頼失墜や顧客・取引先からの信用喪失を招くリスクも。

さらに、人身事故を起こせば、損害賠償や車両修理費、休業による人件費増加など、重大な経済的損失が発生します。企業の社会的責任も問われ、売上減少にもつながりかねません。これらの多大な損害を避けるためにも、従業員一人ひとりの安全運転意識を常に高めることが、企業にとって非常に重要です。

安全運転5則とは?

警察庁では、「安全運転5則」という、交通事故防止のための運転者が守るべき基本的なルールを定めています。それぞれの内容は、次の通りです。

原則名内容
安全速度を必ず守る・天候や道路状況に合わせて危険を回避する速度で走行する
・人通りの多い場所では徐行運転する
カーブの手前でスピードを落とす・遠心力の影響を受けて車体が膨らむため、カーブの手前では速度を落とす
・見通しが悪い場所ではさらに速度を落とす
交差点では必ず安全を確かめる・右折、左折をする前に、必ず周囲の状況を確かめる
一時停止で横断歩行者の安全を守る・横断歩道や歩行者のいる場所では、一時停止もしくは停まれる速度で運転する
飲酒運転は絶対にしない・自分だけでなく周りも危険にさらすことを自覚し、飲酒運転は絶対にしない

これらは一見当たり前のことですが、守られないことで多くの事故が発生しています。すべてのドライバーが安全に対する意識を持ちながら運転することが重要です。

参考:警視庁 交通安全と警察活動

ドライバーの安全意識を向上させるためには?

自社内で安全運転を徹底するためには、すべてのドライバーが安全意識を高めておくことが重要です。ここでは、安全運転を習慣化させるための3つのポイントを解説しましょう。

ドライバーの運転の傾向を知る

運転には、一人ひとりの癖があります。たとえば、平坦な道では速度を出しがち、渋滞していると車間距離を詰めがち、といった傾向があるはずです。

自分だけでは、どのような傾向があるのかを判断するのは難しいこともあるでしょう。そんなときは、運転指導員に同席してもらったり、運転の様子を撮影したりして、評価・分析するのが有効です。

運転に集中できる環境を整える

安全運転を実施するためには、環境を整えることも重要です。時間通りに配送するプレッシャーから、つい速度を出し過ぎてしまうことも。また、眠気を我慢して運転すると、交通事故が発生するリスクを高めてしまいます。

そのためには、無理のない配送計画を立て、ドライバーが十分な休憩時間をとれる仕組みを作ることが重要です。ただし、ドライバーが自己申告するだけでは、経験の差や日々の道路状況の変化などにより、適切な計画が作成できない可能性もあるので注意しましょう。

安全運転教育を継続的に実施する

安全運転への意識は、ニュースや講習で一時的に高まっても、時間とともに薄れてしまうことがあります。これを防ぎ、常に高い意識を維持するためには、継続的な安全運転教育が不可欠です。

一度きりの教育ではなく、毎月のテーマディスカッションやヒヤリハット共有を通じて、職場で安全運転意識を保つことが重要です。講義だけでなく、運転シミュレーターで危険を体験し、実践的なスキルを習得するのも効果的です。

また、安全運転教育はドライバー任せにせず、企業や組織全体で取り組むべきです。管理者や責任者が率先して模範を示すことで、組織全体に安全意識を浸透させ、事故を未然に防ぎましょう。

まとめ

ドライバーの安全意識向上は、一時的な教育だけで実現するものではなく、継続的な取り組みと職場全体の意識づけが不可欠です。安全速度の遵守やカーブでの減速、一時停止などの基本動作を徹底することで、重大事故のリスクは確実に低減できます。

安全運転は「当たり前」を積み重ねることが、何よりも重要です。企業としても、制度と環境の両面から安全意識を育て、信頼される物流体制を築いていきましょう。